マルチステップスキンケア、本当に必要?皮膚科医168人に聞いた「正直な本音」

「10ステップのスキンケア、みんなやってるみたいだけど本当に効果あるの?」
「SNSで見る美容液も導入液も、全部揃えたほうがいいのかな?」

そんな疑問に、敏感肌・乾燥肌歴の私が、オランダの皮膚科医168人を対象にした最新調査を読み解きながら、成分のホントをお届けします。

結論からお伝えすると、皮膚科医の9割以上が「多段階スキンケアの流行」に懸念を示しています。ただし、全否定ではありません。日焼け止めの習慣づけなど良い面も認めつつ、「肌トラブルの原因になりやすい」というのが専門家の共通認識でした。

この記事では、2026年5月に医学誌『Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology』に掲載された調査論文の内容を、翻訳・要約しながら正直に解説していきます。

この研究、何をしたの?

オランダ・アルレイネ病院の皮膚科医らが、オランダ皮膚科学会を通じて全国の皮膚科医・研修医749人にアンケートを実施しました。

回答したのは168人(回答率22.4%)。内訳は、専門医146人と研修医22人です。調査時期は2025年5月~6月でした。

聞いた内容は次のようなものです。

  • 多段階スキンケアの流行についてどう思うか
  • 診療で実際に見かける肌トラブル
  • 原因になりやすいと感じる成分
  • 患者に勧めているステップ数
  • SNSの影響をどう見ているか

9割以上の皮膚科医が「心配している」

もっとも印象的な数字がこちらです。91.6%の皮膚科医が、多段階スキンケアの人気の高まりに懸念を持っていると回答しました。

心配の内容(複数回答)を表にまとめました。

懸念の内容 回答割合
肌荒れ・刺激のリスク 64.9%
アレルギー性接触皮膚炎 54.8%
効果への非現実的な期待 57.1%
科学的根拠の乏しさ 51.2%
経済的負担の大きさ 45.8%
肌質に合わない製品の使用 20.2%

→ 刺激やアレルギーだけでなく、「期待しすぎ」「根拠が薄い」という指摘が多いのがポイントです。SNSの見た目の説得力と、実際の医学的根拠にはギャップがあるという専門家の実感がうかがえます。

一方で、79.8%はポジティブな側面も認めています。特に「肌への関心・意識が高まったこと」(75.0%)、「日焼け止め習慣が広がったこと」(29.2%)は評価されていました。

良い点も悪い点も両方ある、というのが皮膚科医たちの正直な立ち位置のようです。

実際に見た肌トラブルは?

88.1%の皮膚科医が、スキンケア関連の肌トラブルを日常的に診ていると回答しています。多かった症状はこちらです。

症状 回答割合
刺激性湿疹 69.6%
口囲皮膚炎 53.0%
アレルギー性接触皮膚炎 52.4%
化粧品によるニキビ症状 42.3%

原因として名前が挙がった成分は、香料(53.0%)レチノイド(41.7%)が最多でした。

【成分のホント】原因とされた成分を正直に解説

ここからが、お肌のホントの本領発揮セクションです。研究では、成分ごとにどんな症状と関連していたかも分析されています。

レチノイドは、刺激性湿疹と化粧品によるニキビ症状との関連が統計的に有意でした。ただし論文は、これはレチノイドそのものが悪いというよりも、濃度・頻度を無視した自己流の使いすぎや、他の成分との重ねづけが原因になりやすいと指摘しています。SNSで見た「効果が出るまで毎日重ねづけ」のような使い方は、リスクを高める方向に働きやすいということです。

AHA・BHA(角質ケア成分)は、口囲皮膚炎との関連が強く、BHAはさらに化粧品によるニキビ症状やアレルギー性接触皮膚炎とも関連していました。角質ケア系のアイテムを複数種類、同時に取り入れるスキンケアはリスクが上がりやすい、という結果です。

香料や「ナチュラル」表示の製品は、アレルギー性接触皮膚炎との関連がもっとも強く出ていました。「自然由来だから優しい」というイメージと、実際の肌への影響は必ずしも一致しないということですね。

なお、ナイアシンアミドについては、どの症状とも有意な関連は見られませんでした。

じゃあ、シンプルケアが正解?皮膚科医が実際に勧めているステップ数

ここが個人的に一番興味深かった部分です。

多段階のスキンケアを積極的に勧める皮膚科医は、わずか12.5%でした。ほとんどの専門家は、シンプルなケアを支持しています。

推奨されていたステップ数の目安です。

  • 健康な肌の女性:3ステップ前後(40.5%が回答)
  • 乾燥肌の人:3ステップ前後(36.3%が回答)
  • 健康な肌の男性:2ステップ前後(39.3%が回答)
  • 基本的なケアを始める年齢の目安:15.5歳前後

日焼け止めについては、ほぼ全員が「毎日必須」と回答していました。美容液や角質ケアアイテムのように、SNSで熱心に勧められがちなものは、専門家の間では「必須」とはあまり見なされていません。

面白いのは、皮膚科医自身の45.8%は、実は自分でも多段階ケアをしているという点です。専門家自身は成分知識を踏まえて選んでいるからこそ多段階にできる、患者に一律で勧めにくいのはその知識差ゆえ、と読み取れます。

ちなみに、シンプルケアの代表格として、皮膚科医からも支持されやすいのが「白色ワセリン」系の保湿剤です。今回のような多段階ケアの反対側にある選択肢として、参考までにご紹介します。

プロペトピュアベールa(精製度の高い定番ワセリン。とにかく低刺激で選ぶなら)

プラウドブルー センシティブモイスチュアクリーム(ワセリンの進化形・伸びの良さも欲しいなら)

顔だけでなく全身の乾燥ケアまで含めてシンプルにしたい場合は、低刺激なベビーオイルを取り入れる人もいます。

SNSの影響、思っていたより大きかった

86.3%の皮膚科医が、SNSのスキンケア行動への影響を10点満点中8点以上と評価しています。かなり高い数字です。

  • 全員が診療でスキンケア関連の誤情報を経験したことがある(44.0%は週単位、41.7%は月単位)
  • 81.0%が「SNSが不適切な自己流ケアを助長している」と回答
  • 23.2%が「オンラインの情報のせいで受診が遅れたケースを見た」と回答
  • 89.3%が「若年層がより低い年齢からケアを始めている」と実感

若い世代ほど、SNSの影響を強く受けやすい構造がある、というのは覚えておきたいポイントです。

お肌のホントの結論

まとめると、こんな内容でした。

  • 多段階スキンケアそのものが「悪」というわけではない
  • ただし、成分を重ねすぎることで刺激やアレルギーのリスクは上がりやすい
  • レチノイド・AHA/BHA・香料は、特に使い方に注意が必要な成分
  • 皮膚科医の多くが勧めるのは、日焼け止め+2〜3ステップ程度のシンプルケア
  • SNSの情報は影響力が大きい分、鵜呑みにしすぎない距離感が大事

ステップ数を増やすこと自体が目的になってしまうと、かえって肌への負担が増えるケースもある、というのが今回の調査からの一番の学びだと感じました。

ご自身の肌と相談しながら、本当に必要な分だけ取り入れていってくださいね。

あなたの肌にとっての「ホント」が見つかりますように。


参考文献
Poelhekken M, van der Bent SAS. Dermatologists’ Perspectives on Skincare Routine Trends. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2026;19:603986. doi:10.2147/CCID.S603986
https://www.dovepress.com/dermatologists-perspectives-on-skincare-routine-trends-peer-reviewed-fulltext-article-CCID

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