スキンケアは何ステップが正解?皮膚科医168人への調査論文をわかりやすく解説

スキンケア ステップ数|皮膚科医168人への調査論文を解説

「化粧水、美容液、ピーリング…ステップ数を増やすほど肌にいいの?」
「SNSで話題のレチノールやピーリング、みんな使ってるけど大丈夫?」

そんな疑問に、敏感肌・乾燥肌歴30年の私が、2026年5月に発表された皮膚科医向け調査論文の中身を、正直に解説します。

結論からお伝えすると、調査に答えた皮膚科医の多くはシンプルなケアと毎日の日焼け止めをすすめています。ただし、これはオランダの皮膚科医の「意見」を集めた調査で、肌トラブルの発生率を実際に測ったものではありません。

この記事では、論文でわかったこと・わからないことを分けて、正直に解説していきます。


論文の基本情報

項目内容
タイトル(原題)Dermatologists’ Perspectives on Skincare Routine Trends
掲載誌Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology(査読あり)
発表2026年5月6日
著者Mila Poelhekken、Sebastiaan A.S. van der Bent(オランダ・Alrijne病院 皮膚科)
調査方法オンラインアンケート(2025年5〜6月)
対象オランダの皮膚科専門医146人+研修医22人=168人(回答率22.4%)

→ポイントは、患者さんではなく皮膚科医に聞いた調査だという点です。


皮膚科医の9割以上が「多ステップケアの流行」を心配

回答した皮膚科医の91.6%が、何ステップも重ねるスキンケアの流行に懸念を示しました。

心配の中身として多かったのは、次のような点です。

  • 肌への刺激が増えること(64.9%)
  • アレルギー性の皮膚炎(54.8%)
  • 肌への期待が非現実的になること(57.1%)
  • 科学的根拠が乏しい商品があること(51.2%)
  • 費用がかさむこと(45.8%)

一方で、79.8%は流行に良い面もあると答えています。肌の健康への関心が高まったこと、紫外線対策への意識が広がったことが挙げられていました。


診察室でよく見る「スキンケアが原因の肌トラブル」

88.1%の皮膚科医が、スキンケア関連の肌トラブルを日常的に診ていると回答しました。

多かったのは次の4つです。

  • 刺激性の皮膚炎(かぶれ・赤み・ヒリヒリ)…69.6%
  • 口囲皮膚炎(口のまわりの赤いブツブツ)…53.0%
  • アレルギー性接触皮膚炎…52.4%
  • 外因性のニキビ(化粧品などが引き金になるニキビ)…42.3%

皮膚科医が「トラブルと関係がありそう」と挙げた成分

成分皮膚科医の回答で関連が見られたトラブル注意度
香料アレルギー性接触皮膚炎⚠️
「ナチュラル」をうたう商品アレルギー性接触皮膚炎⚠️
レチノイド(レチノールなど)刺激性皮膚炎、外因性ニキビ⚠️
AHA・BHA(ピーリング成分)口囲皮膚炎。BHAはニキビ・アレルギーとも⚠️
ナイアシンアミド有意な関連は見られず

→ポイントは、「成分が悪い」ではなく「重ね方・使いすぎ」が問題視されていることです。

実際、論文の著者はレチノイドについて、ニキビ治療や光老化に効果が確立した成分だと明記しています。ニキビとの関連も、レチノイドそのものより、使いすぎや油分の多い商品との組み合わせが影響している可能性を指摘しています。


皮膚科医がすすめるのは「2〜3ステップ」

多ステップのケアを積極的にすすめている皮膚科医は、わずか12.5%でした。

推奨ステップ数の中央値は、次のとおりです。

対象すすめるステップ数(中央値)
健康な肌の女性3ステップ
乾燥肌の人3ステップ
健康な肌の男性2ステップ

また、ほぼすべての回答者が毎日の日焼け止めを欠かせないものとして挙げました。反対に、SNSで人気の美容液やピーリングを「必須」と考える人はごく少数でした。

基本的なスキンケアを始める年齢は、中央値で15.5歳という回答です。

ちょっと意外だったのは、回答した皮膚科医自身の45.8%が多ステップのケアをしているという結果です。「多ステップ=悪」と一刀両断しているわけではない、という印象です。


SNSの影響は「かなり大きい」

86.3%の皮膚科医が、SNSがスキンケア行動に与える影響を10点満点中8点以上と評価しました。

  • すべての回答者が、診察室で誤情報に出会った経験あり(毎週44.0%、毎月41.7%)
  • 81.0%が「SNSが不適切な自己流ケアを助長している」と回答
  • 23.2%が「ネットの情報のせいで受診が遅れた例」を経験
  • 89.3%が「より若い年齢からケアを始める子が増えた」と実感

論文では、TikTokなどで紹介されるスキンケア動画のうち、日焼け止めを含むものは約4分の1にとどまるという先行研究にも触れています。皮膚科医が最重視する日焼け止めが、SNSでは後回しになりがちというギャップですね。


この調査を読むときの注意点

良い点ばかりではなく、この論文の限界も正直にお伝えします。著者自身も論文内で認めている点です。

  • 意見の調査であって、実測データではない:トラブルの発生率や成分の危険性を測ったものではありません
  • 回答率は22.4%:強い意見を持つ皮膚科医ほど回答した可能性があります
  • オランダ1か国の調査:日本人の肌質や、日本の化粧品事情にそのまま当てはまるとは限りません
  • 肌質・肌の色の違いは考慮されていない
  • 利益相反の開示:責任著者は、化粧品ブランドを含む企業から講演料等を受けていると開示しています(本研究とは無関係と記載)

【成分のホント】「効く成分」と「重ねていい成分」は別の話

ここからが、お肌のホントの本領発揮セクションです。

レチノールもピーリング成分も、正しく使えば頼れる助っ人です。問題は、刺激になりうる成分を一度に何種類も重ねることにあります。

論文ではこれを「成分の過剰摂取(ingredient overload)」と表現しています。1つ1つは適量でも、化粧水・美容液・クリームのそれぞれに攻めの成分が入っていると、肌のバリアに負担がかかりやすくなります。

さらに著者は、洗浄料などに含まれる界面活性剤も、使いすぎると乾燥や刺激の一因になりうると補足しています。「落とす」ステップが増えるのも、見直しポイントになりそうです。

▶ 関連記事:化粧水と美容液のW使いは必要?|界面活性剤の重ね塗りリスクと最適な使い分け

私がワセリン中心のシンプルケアに落ち着いた理由

この論文を読んで、まさに自分の肌で感じてきたことだと思いました。

私は乾燥や湿疹に悩んだ末に、ワセリン中心のシンプルケアに切り替えて、もう7年になります。それからは、洗顔料や乳液をあれこれ足すより、洗いすぎないことを優先しています。

もう1つ大事にしているのが、お風呂上がりすぐにワセリンで蓋をすることです。

界面活性剤の強い洗浄剤をやめただけで、乾燥が落ち着き、肌の調子が良くなった実感があります。論文で界面活性剤に触れていた部分は、思わずうなずいてしまいました。

ベタつきが気になる季節は、キッチンペーパーで表面の油分を軽く抑えて調整しています。フローリングのワックスがけのイメージです。

シンプルなケアに落ち着いてからのほうが、肌のことで悩む時間が減った気がします。あくまで私の肌での経験ですが、「足す」より「引く」で楽になった実感です。

▶ 関連記事:【7年ワセリン主義の本音】敏感肌が化粧水をやめて毛穴もシワも気にならなくなった話

子どもと家族で、同じシンプルケアに寄せています

論文では、子どもの肌はバリア機能が未発達なため、不適切なケアで刺激を受けやすいことにも触れています。これは、我が家でも実感しているところです。

2歳の息子は汗で痒くなりやすく、保育園でもお昼寝前にシャワー浴をしていました。

ベビー用と書かれた製品にも界面活性剤が入っているものがあると知ってからは、ケアの考え方を変えました。汚れはお湯で丁寧に洗い流し、保湿はクリーム基材ではなくワセリン中心にしています。

今は家族全体で、ワセリン中心のケアに寄せています。大人と子どもで製品を分けなくていいシンプルさが、結局いちばん続けやすいというのが、今の実感です。

▶ 関連記事:赤ちゃんに安心して使える界面活性剤フリー製品まとめ|カテゴリ別おすすめガイド

なお、湿疹や痒みが続くときの対応は肌の状態によって変わります。お子さんの場合は特に、小児科や皮膚科で相談しながら進めてくださいね。

お肌のホントの結論:ステップ数を増やす前に、「日焼け止め」と「保湿」の土台ができているかを確認するのが現実的です。


見直しをおすすめする人/今のままでよさそうな人

見直しをおすすめする人

  • ✅ レチノール、ピーリング、ビタミンCなど攻めの成分を複数重ねている人
  • ✅ 口のまわりの赤み・ヒリヒリが続いている人
  • ✅ 日焼け止めより美容液を優先している人
  • ✅ 10代のお子さんがSNSを見て何ステップものケアを始めた家庭

今のままでよさそうな人

  • ✅ 保湿+日焼け止め中心で、肌トラブルがない人
  • ✅ 洗いすぎに気をつけ、シンプルな保湿で肌が落ち着いている人
  • ✅ 皮膚科の指導のもとで、レチノイドなどを使っている人

肌トラブルが続くときは、自己流で成分を足し引きするより、早めに皮膚科で相談してくださいね。


まとめ:皮膚科医の本音は「シンプル+日焼け止め」

オランダの皮膚科医168人への調査は、流行の多ステップケアに対する専門家の懸念を、はじめて体系的にまとめた論文です。

この論文でわかったこと

  • 皮膚科医の9割以上が多ステップケアの流行を心配している
  • すすめるのは2〜3ステップと、毎日の日焼け止め
  • 香料・レチノイド・ピーリング成分は「重ね方」に注意

この論文だけではわからないこと

  • 実際にどれくらいの人にトラブルが起きているのか
  • 日本人の肌や日本の化粧品にそのまま当てはまるか

効果の感じ方には個人差があります。ご自身の肌と相談しながら判断してくださいね。

あなたの肌にとっての「ホント」が見つかりますように。


参考文献
Poelhekken M, van der Bent SAS. Dermatologists’ Perspectives on Skincare Routine Trends. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2026;19:603986. doi:10.2147/CCID.S603986
https://doi.org/10.2147/CCID.S603986

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